クールなJSとヘタレJKのソフト百合…『柚子森さん』【やわらかスピリッツ】

クールなJSとヘタレJKのソフト百合…『柚子森さん』【やわらかスピリッツ】

クールでちょっとませてる女子小学生(JS)・柚子森さんと、女子高生・みみかの、不思議な友だち関係と心の交流を描いた、ほんわか百合漫画。絵柄の可愛さとソフトタッチの百合描写で、作者独特の世界観をかもしだし、心地よい読み味が特徴です。連載開始後、「やわらかスピリッツ」のユニークユーザーが1.5倍になったという人気作です。

丁寧な描写とボリューム感

作者は「ねぶくろ」という名でも創作活動を行っており、「柚子森さん」も当初、3作がPixivに投稿されています。現在、その3作は「やわらかスピリッツ」内でも「予告編1〜3」という形で収録されています。
同性の恋愛を描く作品というのは、どうしても学園ものという舞台設定になることが多くなります。必然的に、登場するのは同じ学校に通う中高生。つまり、13歳〜15歳、16歳〜18歳と、年齢層が限られたものになります。女子大生同士や社会人同士の同性恋愛を描くものもありますが、やっぱり思春期の女の子の心の内を描くことこそが、男女の恋愛もの以上に読者が共感するところです。
しかし、この作品は、女子小学生に恋する女子高生を描き、しかも年上の女子高生がヘタレ、年下の小学生がクール系…という、非常に変わった設定です。にもかかわらず、キャラクターの特性が年齢と真逆になっていることで、2人の会話にはほとんど年齢差を感じさせません。したがって、年齢は離れているのに同級生みたいだったり、もしくは柚子森さんの方が大人なんじゃないかと思わせるような描写もあったり…と、単なるロリ趣味ではない、2人の関係の複雑さと微妙な気持ちの絡み合いがよく描かれています。4コマではなくストーリー漫画で、ほとんどのエピソードがが4ページか5ページのショート作品で、思いきった大ゴマ描写なども使われている割には、非常に読みごたえがあり、ボリュームを感じさせるのは、作者の持つ独特な百合感覚と丁寧かつ大胆な描写によるところが大きいのではないでしょうか。

男女を問わない百合の魅力

聞くところによると、スキンシップやボディタッチが日常茶飯事の女子高では、百合的な関係はそれほど珍しいものではないと聞きます。「かわいい女の子が好きな女の子」も、女の子の中に一定数いるのは事実。女性にとっては日常の世界ですが、男性にとってはなかなかうかがい知ることのできない非日常の世界。だからこそ、男性にとっては背徳的なドキドキ感、女性にとっては日常的な共感を呼び、性別を問わず読者を獲得できるのかも知れません。

風雲急を告げる展開

ちょっと残念なのは、予告編3編と第1話、最新話以外は無料公開が終了していること。単行本が2巻まで出ているので、あとは単行本を買って下さいということなのでしょうが……。ゆるふわ、ほっこりな世界観、のんびりしたテンポで描かれてきた本作ですが、最新話「その18」(前・後編)は、闇(病み)の登場を予感させるエピソードです。ネタバレしないように、これ以上は書きませんが、百合は悪感情が絡み合うと男女の恋愛以上に厄介だとも言いますし、今後の展開から目が離せません。完全無料ではありませんが、このジャンルが好きな人にとっては、単行本収録分を購入するだけの価値はある作品だと思います。

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