【コミックウォーカー】ウメハラ FIGHTING GAMERS!

【コミックウォーカー】ウメハラ FIGHTING GAMERS!

梅原大吾・監修 西出ケンゴロー・作画 友井マキ・原作

ゲーム業界では名前を知られたプロゲーマー・「ウメハラ」こと梅原大吾氏と、その永遠のライバルであり盟友でもある大貫晋也氏の若き日を描く実録コミック。1990年代中盤の秋葉原のゲームセンターを中心にストーリーが展開しますが、格闘対戦ゲームの描写は、リアルなバトルかと思わせる圧巻の迫力があります。

プロゲーマーを題材にした異色の実話ものですが、ご本人の監修が入っているだけのことはあり、非常にしっかりしたストーリーです。梅原氏と大貫氏の出会いとゲーセンを舞台に繰り広げられる息詰まる戦い、そしてお互いの過ごした若き時代が克明に描写されており、若者の生き方を問いかける青春ものとしても読みごたえがあります。

特に、90年代に一世を風靡した格ゲー「ストリートファイター」シリーズのゲーム場面はものすごいとしか言いようがありません。まず、お互いにファイトしているゲーム画面が、まるで格闘技漫画かと思うような迫力。「波動拳」「タイガーアッパーカット」「サマーソルトキック」などの必殺技が、漫画ならではの迫真性をもって描かれています。ある意味、ゲームのコミカライズ以上。そこまで描きこむことで、その後プロゲーマーになる主人公のゲームスキルが、素人とは違う超絶的な世界だということを際立たせています。

また。シリーズ、キャラクターごとの特性からコマンドに至るまで、ゲーマーとしてやり込んでいなければとうていわからないような詳細な描写と解説は、当時ハマった人間にはたまりません。あの頃はよくゲーセンに通ったものですが、キャラ、バージョンごとにこんな特徴があったのか!と、20年以上たった今になって、目からウロコが落ちるような発見があります。

もちろん、当時ゲーム雑誌などで攻略法を研究したマニアには当たり前の部分もあるのでしょうが、これを知ってたらもう少し遊べたかな……とちょっと悔しくも思ったり。当時は春麗(中国代表の女性キャラ)かエドモンド本田(日本代表の力士)が推しキャラでした。どちらも「百裂脚」「百裂張り手」という高速連続の必殺技があるため使いやすく、愛用してましたね。あんたの思い出話は聞いてない?はい、すいません。懐かしくてちょっと荒ぶりました(笑)。

ゲーム描写だけでなく、当時まだ世間的に「子供の遊び」としか認知されていなかったゲームの世界に挑むウメハラの、周囲との軋轢や、自分のかけているものに対する無理解に対するいら立ちと苦悩も、読みどころのひとつ。「ゲーム・アニメ・漫画」という、いわゆるおたくジャンルは、今でこそ日本を代表するコンテンツ産業として認知されていますが、その地位を確立するまでには様々な紆余曲折がありました。今でも、一部ではありますが偏見はゼロではありません。しかし、ウメハラ氏や大貫氏のようなパイオニア的存在が道を切り開いてきたからこそ、今の時代があります。プロゲーマー、ユーチューバーなどなど、今は昔では考えれらないような職業がたくさんできました。そういう意味では、いい時代になったな……なんて思ったりします。

道を切り開くエネルギーは、若者(年齢だけではなく、精神的な意味で)だけが持っているものです。「若さって何?」って聞かれたら、自分なら「好きなもの、やりたいことに対して、一銭にならなくても全身全霊を賭けられること」と答えます。ウメハラ氏の場合は、それが格ゲーでした。先のことなど考えず、好きなことに打ち込んだ人間の生きざまが持つ「熱」を、この作品は鮮やかに描き出しています。

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