【コミックウォーカー】だんしんち

【コミックウォーカー】だんしんち

岡 叶・作

立川のアパートで一人暮らしする大学生の壇野心志(だんしんと、だんしんの部屋をたまり場にしている美大生のシャンピ、穏やかで優男だが、何を考えてるかいまひとつわからないぐーぐーの3人が繰り広げる、ゆるーいお気楽学生生活コメディー。一人暮らし男子の生態がリアルに描かれ、現代の学生気質が浮き彫りになる作品です。

最近では「女子会」ばかりがメディアでもてはやされますが、男子には男子の生き方があります。タイトルは「あたしンち」へのオマージュでしょうが、友人の一人暮らしの部屋に乱入しての宅飲みは、男子会のだいご味と言えるでしょう。

学生の頃、友達の部屋に転がり込む側も、自分の部屋に転がり込まれる側も経験したことがあります。この作品を読んで、ン十年前が懐かしく思い出されました。酔っぱらって騒ぎ、他の住人にどなり込まれたり、部屋のものや食べ物を勝手に何でも引っ張り出されたり、他人のベッドで寝込まれて自分が寒い思いをしたり、こたつを出したらみんなもぐりこんで出られなくなったり……。

思えば、大学時代はバイトや授業やそれなりにやることはあるけど、基本、気ままで自由なモラトリアム生活です。お金はないけど時間はあり、その時間が好きなことをしたり、いろいろなことを考えたり、成人、社会人としての自分を作り、決定づけた時期だったと思います。安い焼き鳥屋で安酒飲んで悪酔いしながら、夜通し人生について議論しても、翌朝になるとケロッとして学校に行ける。サークル部室に顔を出しては、麻雀のメンツや飲みに連れていける友人、後輩をピックアップして遊びに行く(私たちの頃は、「徹夜麻雀」「徹夜ビリヤード」という夜の過ごし方もありました。昭和世代がバレるw)。そんなことばかりやっていました。

当時の仲間たちとは、社会人になってだいぶ時間が経過した今でも付き合いがあります。日本の大学生は入る時こそめちゃくちゃ厳しいけど、入ってしまってしまったら、遊んでばかりで勉強しない、と言われて久しくたちます。学力低下の影響やら基礎研究への予算投入の減額による日本の科学技術の衰退なんてことを言われて久しいですが、日本の大学は、「大人になるための準備をする時間を作る場所」と言ってもいいんじゃないでしょうか。「それは学校に求めるものじゃない」というのは正論でしょうが、社会人(主にサラリーマン)になれば、生活のために自らの時間を切り売りすることになります。その前に、思い切り贅沢に時間をつかうことを経験するからこそ、時間の貴重さというものがわかるのではないでしょうか。

女子会の話題というと「恋愛」「結婚を含めた将来」というイメージ(おぢさんの勝手な想像でスマンm(_ _)m)がありますが、男子が集まると「趣味」「仕事を含めた将来」が話題にのぼることが多くなります。女の子のことって、実は男子同士の時にはあまり話題にならなかったりするんですよね……。この作品には、「あるある」系の笑いとともに、それぞれの抱える悩みや不安もきちんと描かれており、キャラクターの描き分けがしっかりされています。4月10日に第1巻の単行本が発売されますが、今後、だんしん、チャンピ、ぐーぐーがどんな大人になっていくのか、この後の展開が楽しみです。

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