【コミックウォーカー】堂々とアイドル推してもいいですか?

【コミックウォーカー】堂々とアイドル推してもいいですか?

作・小城徹也

【画像引用】http://comic-walker.com/viewer/?tw=2&dlcl=ja&cid=KDCW_KS01000051010001_68

アイドルにまったくの理解がない妻と娘がいるドルヲタ・緒上崇が、嫁バレを防ぐべく、涙ぐましい努力をしながらドルヲタ活動を続ける「けもの道」を描くヲタクコメディ。ドルヲタ用語も作品各所に散りばめられ、アイドル現場を知る人、家族持ちのヲタクには「あるある」とうなずける描写が満載です。

連載を開始して4回とストーリーはまだ序盤ですが、アイドル現場を知っている人ならとにかく楽しめます。「ステルス」(周囲からそれと悟られないように、ライブ用のグッズを隠し持って行動すること)「他界」(推しのアイドルの現場からいなくなる、あるいはアイドル現場に行くことそのものを辞めること)、「ガチ恋」(アイドルに本気で恋愛感情を持ってしまうこと)など、用語からしてその道の人には一般的な“業界用語”ばかりです。

実際、家族のいるドルヲタさんは相当苦労しているようです。チケットは郵送受け取りを絶対しない、DVD等は記憶装置にダウンロードしてスマホだけで視聴する、ライブやイベントはほとんどが週末に開催されるため、休日出勤と称してライブに行く…など、様々な話を聞いていますが、その辺の「けもの道」事情が、克明に描かれているのはさすがです。

主人公は「あらたな☆チューズ」(略称あらチュー)というアイドルユニットのヲタクという設定です。描写からいって、おそらくブレーク前のももいろクローバーZがモデルではないかと思われますが、面白いのが、あらチュー本人たちの姿が一切描かれていないこと。普通、このようなジャンルの漫画なら、可愛い女の子を登場させる意味でも、アイドルそのものを必ず登場させるものなのですが、なんと握手会の描写でさえ本人たちが登場しません。こんなアイドル漫画は初めて見ました。

しかし、ドルヲタというのは不思議なもので、最初は当然アイドルを推すために現場に行くんですが、しまいにはヲタ仲間に会いに行くために現場に行ったり、さらには一定数いる「女性アイドル好きの女の子」−これを「女ヲタ」というのですが−の追っかけ、あるいはガチ恋になる「女ヲタヲタ」が出現したりして、しまいにはどのアイドルを推すかなんてどうでもよくなってしまったりします。つまり、現場はアイドルを応援すると同時に、同好の士の社交場だったりもするのです。この作品は、あえて「アイドルを描かないアイドル漫画」にすることで、ドルヲタたちのそんな空気を見事に描き出しています。

ドルヲタを描いたWeb漫画としては、「在宅」(地方在住などで現場に行けず、ブログやSNS経由でアイドルを応援するファン)と「現場派」ヲタクが、プライドにかけ互いの推しをメジャーにするため激突する「ミリオンドール」(原作・藍=コミックガンマ)が有名です。アニメ化もされた作品ですが、こちらは連載が進行するにつれ、推している地下アイドル(小規模な会場でのライブを中心に活動するアイドル。ライブアイドルともいう。メジャーデビューしているかどうかは様々)たちの苦悩や成長を描くアイドル漫画に変わっていきました。この作品にあら☆チューが登場することはあるのか、そして緒上の趣味が家族に認められる日は来るのか。更新が楽しみな作品です。(紙では「少年エース」に連載中)

この漫画を読む

人気の記事